男嫌いと噂の美人秘書はエリート副社長に一夜から始まる恋に落とされる。
(それとも、なんかそれっぽいこと聞かれたっけ……?)

 ……記憶にない。悲しいことに。

 頭の中がぐるぐると回る中、丞さんが連れてきてくださったのは、隠れ家的なお店だった。

 彼が扉を開けると、中から「いらっしゃいませ」という若い女性の声が聞こえてくる。

「あっ、真田さんだ!」

 女性が、親し気に丞さんのことを呼んでいる。……どうしてか、ちょっともやっとした。

 だけど、さすがに扉の前に立ち尽くしているわけにはいかず、私も店内に入る。店内は、とてもおしゃれだった。

 そして、視線を動かせば、先ほどから丞さんと親し気に話している一人の女性。

 明るい茶色の髪をした、年齢からして二十代前半といった感じ。大学生にも見えてしまう。

「真田さんが女性連れ、珍しいですね。……というか、初めてじゃないですか?」

 女性がニコニコと笑って、丞さんに声をかけている。……丞さんは、肩をすくめられていた。

(この女性は、どういう関係なのかしら……?)

 お二人の様子を見た私は、どうしてかそう思ってしまっていた。
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