疫病神の恋
夜ご飯は幸が、朝ご飯は悠生が担当するのが、いつのまにかルールのようになっていた。
トーストにウインナー、バターたっぷりのスクランブルエッグにオニオンスープ。サラダにフルーツとヨーグルト。幸にはカフェオレ、悠生はブラックコーヒー。
「幸さんは本当に寝起き悪いですよね。一人暮らしで、よく遅刻せずにいられましたね」
「朝ご飯を食べていなかったから、時間は大丈夫だったんです」
「意外です。そういうのしっかりしてそうなイメージなのに。朝食べないのは良くないですよ」
一人暮らしでは、夜ご飯の残りをお弁当に詰めたり、次の日の夜に持ち越したりしていた。
朝が弱いから、というのもあるが、一食分を抜くと節約にもなるのだ。
朝ごはんを食べるようにとのお叱りは、子ども扱いされているような気になる。
「なんだかお父さんから叱られてるみたいです……」
言い訳を飲み込んでそれだけを反論すると「お父さんって…」と、ショックを受けたような声が返ってきた。
「せめてお兄さんにしてほしいところです」
どうでもいいことで不満げに目を眇められ、笑ってしまった。
ここで暮らし始めて、二か月ほどが経とうとしている。
アパートは、取り壊された。会社は、新しい社宅を用意する予定はないらしい。
新しい住まいを探し続けてはいるけれど、ちょうどいい物件がなかなか見つからずにいる。会社周辺は空きがなく、あっても保証人が必要な場合が多い。
居心地のよさも相まって、いけないと思いつつずるずると甘えてしまっている。
しかし、こんなに近くで過ごしていても、悠生に不幸は訪れていない。
もしかしたら幸の疫病神効果は、いつのまにか薄まっていたのだろうか。
幸の胸に、もう人と普通に接しても問題ないのかもしれないという期待と希望が抱かれていた。
トーストにウインナー、バターたっぷりのスクランブルエッグにオニオンスープ。サラダにフルーツとヨーグルト。幸にはカフェオレ、悠生はブラックコーヒー。
「幸さんは本当に寝起き悪いですよね。一人暮らしで、よく遅刻せずにいられましたね」
「朝ご飯を食べていなかったから、時間は大丈夫だったんです」
「意外です。そういうのしっかりしてそうなイメージなのに。朝食べないのは良くないですよ」
一人暮らしでは、夜ご飯の残りをお弁当に詰めたり、次の日の夜に持ち越したりしていた。
朝が弱いから、というのもあるが、一食分を抜くと節約にもなるのだ。
朝ごはんを食べるようにとのお叱りは、子ども扱いされているような気になる。
「なんだかお父さんから叱られてるみたいです……」
言い訳を飲み込んでそれだけを反論すると「お父さんって…」と、ショックを受けたような声が返ってきた。
「せめてお兄さんにしてほしいところです」
どうでもいいことで不満げに目を眇められ、笑ってしまった。
ここで暮らし始めて、二か月ほどが経とうとしている。
アパートは、取り壊された。会社は、新しい社宅を用意する予定はないらしい。
新しい住まいを探し続けてはいるけれど、ちょうどいい物件がなかなか見つからずにいる。会社周辺は空きがなく、あっても保証人が必要な場合が多い。
居心地のよさも相まって、いけないと思いつつずるずると甘えてしまっている。
しかし、こんなに近くで過ごしていても、悠生に不幸は訪れていない。
もしかしたら幸の疫病神効果は、いつのまにか薄まっていたのだろうか。
幸の胸に、もう人と普通に接しても問題ないのかもしれないという期待と希望が抱かれていた。