言葉足らず。
 私の間の抜けた困惑の声に、先生がつけ足す。それにさえ、私はさらに困ってしまった。

「あの、大丈夫ですよ。この辺で。」

 もうすぐそこだし、と、遅い時間につき合わせてしまったことがものすごく申し訳なくなる。っていうか、早く気がつかなかった自分が嫌になる。
 ゆっくり話せて嬉しいなんて、先生からしたら迷惑だったかもしれないのに。

「危ないですよ、今さらかもしれないですけど。」

 私の心配をよそに、紡がれる先生の言葉。たしかにこの時間に帰るのは珍しいことじゃないし、先生の言う通り今さらといえば今さらだ。
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