親愛なる魔王の君へ#2~召喚されたので、魔王の側近になります!~
6、雨の試練



少しザワザワとする音を聞きながら、目を覚ました僕は顔を上げる。

目に入ったのは、前にいた世界で通っている高校の教室。

僕は、気が付けば僕の席に座っていた。

「ねぇねぇ、今からどこ行く?私、お洒落なカフェ知ってるんだよね」

「え、どこどこ?それって、今人気な駅前にあるカフェ?」

そんな会話をしながら鞄を片手に教室を出ていくのは、クラスメイト。次に時計を見てみれば、時計の針は15時半くらいを指している。

この時間で帰っている生徒がいるってことは、今日は早帰りの日なのだろう。

「……」

窓際にある席に座りながら、僕はそのまま窓に目を移した。窓の外から正門に向かって歩いている生徒が見える。

「……」

普段なら僕もすぐに帰る支度をして、歩いている生徒に紛れて帰る……けど、そういった気分になれなかった。

……それに、僕は何をしたらいいか分からない。事前に何をすればいいか、聞いてないし。

ここで目が覚める前、猫は試練がどうのこうの言っていた。その試練の内容は、一体何なのだろう。

『……起きたか、我が主』

そんな声が聞こえてきて、僕は声がした方へと顔を向ける。

教室の入口にいたのは、“もう1人の僕”だった。もう1人の僕の髪は、胸辺りまで伸びている。
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