君のスガタ
「…聞いてたのかよ。悪い? 俺だって言いたいよ。でも、言えない苦しみで言葉に出ないんだよ。俺だって、自分が自分になんていえばいいかさえ分からないのに」

 俺は近くにあったベンチに座り込んだ。

 足を広げて、両膝を両肘につけて、歯を食いしばった。

「慶……。でも、僕は慶のことをきちんと話して、柚ちゃんはそんなことで慶を幻滅するような人なの? 柚ちゃんはきっとどんなことも受け入れて、そのままの慶を好きになったんだと思うよ」

「……っ斗真。うぅぅぅ…」

 俺は座ったまま、顔が崩れるのではないという位にぐしゃぐしゃで誰が見ても、ブサイクに違いない。

「慶……。お前ならあのことだってきちんと言える。慶はどうなの?」

 斗真は俺を見据えた。

 俺はその言葉に涙が止まった。

 これでいいのか……本当に。

 柚に何も言わないで、このまま関わりもなくなるかもしれない。

 簡単に好きだと言えないのか中学時代に何があったのかなどまだ話していないことばかりだ。

 柚に話さないといけないことがある。 

 伝えなければならない。
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