君のスガタ
 柚はいつだって俺が何をしても、嫌な顔をするけど、きちんと「俺」を見て、笑ったり、悩んだり、落ち込んだりする表情が映像として俺の頭の中にいろんな色合いが浮かんできた。

 俺は目尻を擦って、立ち上がった。

「…っ…行ってくる…」

 斗真を置いて、急いでドアを開けた。

 柚は何気ないことも聞いてくれて、俺のわがままも受け入れてくれた。

 そんな柚に俺はあいまいな言葉でごまかしていた。

「はぁはぁ……。何してんだ、俺」

 走りながら、俺は独り言を呟いた。

 自分が自分を守りたかっただけ。

 柚のことを想って、言葉にしたら終わると思った。

 柚とは好きという関係ではなく、ただ一緒にいたかっただけと自分に言い聞かせていた。

 柚からさっきに好きだって言ってくれた。元カノから言われた言葉を思い出して、不
安や焦りなどの感情が出てくると思ったが、そんな感情は出なかった。

 柚から言われた言葉は嬉しい・好きという思いが強くなった。

 もう、好きが募っていたんだ。

 俺は息を吸って吐いて、柚がいるであろうという場所にあてもなく走った。

 走っていると、赤信号に変わった。
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