浮気されて振られたが、ハーフイケメン外科医に溺愛されています。
 滝川先生が部署から出て行くのを見送ると、はぁっ~と脱力したように椅子に座った。食事は冗談かと思ったら、どうやら本気のようだ。
 何だか身体中が熱い。もしかしたら……と思う自分は調子に乗っているのだろうか? まだ別れたばかりなのに。
 チラッとデスクに置いてある自分のスマホを見ると、メッセージが。
 見てみると由美子からだった。今夜飲みに行かない? とのお誘いだった。
 そうだ。こんな時は彼女に相談してみよう。会うのは約束があるから、電話で。

 緋色は定時に仕事を終わらせると、こっそりと人気の少ない職員用の廊下で隠れて電話をする。丁度、彼女も仕事が終わる頃だろう。すると、すぐに出てくれた。
 理由を話すと『是非行って来い』と即答で返された。

「で、でも……約束はしたけど、まだ知り合ったばかりだし」

『何を言っているのよ。恋愛は勢いも大事よ。そんなハーフイケメン外科医なんて、滅多にお目にかかれないんだから、構わずに食べられて来い』

(食べられて来い……って、あんた)

 彼女の発言に驚かされる。しかも、それだと今夜関係でもあるかのように。
 ただの食事で、そんなつもりは向こうにはないだろう。

「きっと、食事だけよ。親切な人だし」

『そんなの分からないでしょ? ただの親切なら食事に誘わないわよ。2人だけで。そんなの下心があるに決まっているじゃない』

 それも……そうか。いやいや。
 すると、和田先生の声まで聞こえてきた。今、一緒に居るのだろうか?

『何々? 北澤さん?』

 由美香は和田先生に説明をしながら電話を交代する。

『もしもし~聞いたわよ。良かったじゃない。恋愛の傷は新しい恋愛に限るわよ』
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