浮気されて振られたが、ハーフイケメン外科医に溺愛されています。
「お待たせしました。オードブルの前菜でございます」

 スタッフの声にお互いにハッとなって、手を引っ込めた。余計にドキドキと心臓が高鳴り出してしまった。
 前菜をテーブルに置かれている間、シーンと黙り込んでしまう。
 ああ、いい雰囲気だったのに。
 ちょっとガッカリするのは何故だろうか。

「あの……食べましょうか?」

「そ、そうですね」

 お互いに照れながらも、食事にする事にした。その後もスープ、魚料理、肉料理など。最後のデザートもとても美味しかった。
 コーヒーを飲んだ後にお会計になったのだが、そこでもスマートにカードで払う滝川先生。緋色は申し訳なくて、支払い後に財布を出した。

「あの……お金。いくらですか?」

「ああ、いいですよ。お誘いしたのは僕ですから」

「ですが……」

「せっかく大切な時間を僕にくれたのですから、払わせて下さい。それよりも、また食事にお誘いしてもいいですか?」

 割り勘でもなくてもいいと言う滝川先生。それどころか、また誘ってもいいかと聞いてきた。一度でもいい経験をさせてもらったのに、次回も?

「は、はい。大丈夫です」

「良かった。じゃあ、今後も美味しいお店を探しておきますね」

 ニコッと笑いながら滝川先生はそう言ってくれた。
 そのまま何事もなく病院の駐車場まで送ってくれた。既に遅いため、周りに誰も居なく電灯の光りだけだった。

「あの、今日はありがとうございました。とても楽しかったです」
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