浮気されて振られたが、ハーフイケメン外科医に溺愛されています。
 手が緋色の身体に触れられるたびにゾクゾクと熱い興奮が湧き上がる。だが、このままでは車の中で、する事になってしまう。
 ここは病院の駐車場だ。いくら夜でも人が居ないとしても、いつ警備員が見回りに来るか分からない。監視カメラだってあるのに。
 途中で我に返ったのか冷静になって状況を確認し始めた。

「あ、あの……待って下さい。ここは病院の駐車場です」

 緋色は、はぁはぁと息を整えながら必死になってそう言った。すると、滝川先生もやっと冷静さを取り戻したのか止めてくれた。

「あ、すみません。嬉しさのあまり……歯止めが効きませんでした」

「いいえ……」

 本当は止めてほしくない自分も居た。しかし状況的にもまずいだろう。もし目撃でもされたら注意どころか恥ずかしい思いをする。
 すると滝川先生が少し考え込みながら緋色の耳元で囁く。

「でも……あなたをこのまま帰したくない。僕の家にお誘いしてもいいですか?」

 低く、甘い声に心臓がドキッと高鳴ってしまう。

「は。はい」

 緋色は、そう返事するだけで精一杯だった。身体中は、すっかり火照ってしまい熱い。このまま帰宅しても興奮して眠れないだろう。
 それに彼の猛アプローチに断わる理由が見つからない。だって……。
 囁きながら耳に唇を触れてくる。甘い吐息が、この先を想像させる。外国の人は恋に情熱的だと聞くが、彼にもその血がひいているのだろう。
 緋色の頃は、滝川先生の事で頭がいっぱいだった。
 その日は、そのまま滝川先生の自宅に泊まった。彼の自宅は駅近くにある賃貸のファミリー向けのマンションだった。
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