別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
 以前、空港に来た時は飛行機に乗るためだったので、すごく緊張していた。一方で、フライトスケジュールの中にRHHを見つけ、もしかするとどれかの便の飛行機に綾人が乗っているかもしれないという考えがよぎった。まさか直接会うとは思ってもみなかったけれど。

 でもその前から、凌空に父親の話をする時 や、凌空と飛んでいる飛行機を空に見つけた時 に、ずっと綾人のことが頭にちらついていた。忘れられなかった。

 それが今、彼の操縦する飛行機がしっかりわかっていて、こうして迎えられる立場なのは幸せだ。

 余裕をもって昼前に空港に到着し、凌空と空港内のレストランで昼食をとる。

「凌空、お父さんの乗っている飛行機、見に行こうか?」

「いく! おとうさんと、ひこうきみる!」

 元気よく答える凌空に苦笑する。それは綾人と合流してからでも遅くはないだろう。

 もうすぐ着陸予定時刻なので、滑走路が見える展望デッキに凌空と足を運ぶ。天気はよく、風も穏やかなので飛行機がよく見えた。

「ひこーき、きたー!」

 凌空が指差した飛行機は他社のものだが、それでも間近で飛行機が見られるのは嬉しい。

 綾人の操縦する飛行機はそろそろかな?

 もしかすると前方の操縦室が少しだけ見えるかもしれない。私も彼の操縦する飛行機を見るのは初めてだ。

 ところが、ウキウキしながら待つもののなかなか綾人の乗った飛行機が姿を見せない。

 まだ、着かないの?

 到着予定時刻 から二十分が過ぎようとしてしていた。

 ハイシーズンでもなければ、天候や風の影響なども考えにくい。

 機材トラブルかなにかで出発に時間がかかったとか?

 多少の遅れは想定内だが、さっきから妙な胸騒ぎが止まらない。
< 155 / 189 >

この作品をシェア

pagetop