別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
 想像以上に早く、綾人とは午後四時半過ぎに合流できた。むしろ今日はオーバーワークになるので休息を取るようにと指示されたらしい。

 凌空が疲れて目が半分閉じてきたこともあり、空港はさっさと後にしようと話をまとめる。綾人の運転する車に乗り、彼の実家を目指すことになった。

 綾人のスマホには実家からの着信が何度もあったらしい。折り返し連絡をすると、顔を見せるように言われ、三人で向かう。

「挨拶に行く時予定を擦り合わせるのに、勤務表を渡したのが間違いだったな」

 やれやれといった様子の綾人に唇を尖らせる。

「そんなこと言わないの。ご両親、きっとすごく心配したと思うよ」

「わかってるよ」

 車が走り出して案の定、凌空はすぐに夢の中に旅立った。それを見越して、今日の私は助手席に座っている。

「上空では管制官や地上整備士とやり取りしながら、どうしたら前輪が出せるかいろいろ試していたんだ」

 綾人から事故当時、飛行機の中はどんな状態だったのかを聞く。

「何度か着陸を試みたの?」

「いいや。それは本当に最終手段。可南子が見たのはローパス。地上から機体がどんな状態なのか整備士に確認してもらうために低く飛んでいたんだ」

 実際は前輪が出ていて、異常を知らせる警告ランプの故障なのか、前輪は出ていないが収納している扉は開いているのかなどは、確かに外からしか確認できない。

「あの着陸したのかと思ったらすぐに飛んで行ったのは?」

「あれはタッチ・アンド・ゴーって言って一度着陸してすぐに再上昇する動きで、衝撃を与えて前輪が出ないか試そうとしたんだ」

 なにをしているのかも、意図もまったくわからなかったが、さまざまな可能性を探りながら機転を利かせていたことに驚く。
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