別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
 でも綾人は来年の春から海外訓練のためアメリカに行くと聞いている。私もまだ社会人一年目で仕事で覚えることがたくさんあるし、確実な約束なんてできないのかもしれない。

 それを綾人と話し合う勇気も、時間もない。もちろん私としては別れたくないけれど、綾人はどう思っているのだろう。

 十二月に入り、どこもかしこもクリスマスムード一色だ。社会人になって初めてのクリスマスだが、綾人と特別なにかを計画はしていない。

 クリスマス当日は私は仕事で遅くなる予定だ。イベントごとのときは、現場に行く場合が多いのでしょうがない。カメラマンと意見を交わして、欲しい映像のために協力し合う。

 おかげで私は基本的に土日は仕事なので平日に休みとなり、逆に綾人は今地上勤務でカレンダー通りの休みとなっている。こういった勤務体制の違いもなかなかふたりでゆっくり過ごせない原因だ。

 その前の週末に私は休みを取れたのだが、綾人が実家で用事があるらしく、彼からは何度も謝罪されたがイベントごとにそこまでこだわりがない私は大丈夫だと笑った。

『年末はまとまった休みをとれたし、久しぶりにふたりでゆっくり過ごそう』

 約束だと必死に告げる彼に笑みがこぼれる。そうやって次に会う約束をしてくれるから私は大丈夫だ。

 平日休みの日、買い物に出かけたあとは、家でのんびりと過ごす。このルーティンにもすっかり慣れてしまった。カレンダーに目を遣る。気づけばあっという間の一年だった。

 このままいけば、いつか綾人と結婚するのかな?

 けれど綾人はこれから副操縦士の資格を取るため数年は厳しい訓練が待っている。
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