別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「あのね」
『綾人』
そのとき電話越しに、聞こえるか聞こえないかほどの小さな声が聞こえた。遠くから彼を呼ぶその声には覚えがあった。
川嶋さん?
『今度、綾人が実家に帰ってくるのは私との結婚話を進めるためよ。あなたにはなにも言ってないんでしょ』
彼女の発言が頭を過ぎり、硬直する。
綾人は今、川嶋さんと一緒にいるの?
なんとなく綾人が場所を移動しているのが伝わってくる。それが私の不信感をさらに煽っていく。
『可南子?』
「実は年末年始、ちょっと実家に帰らないとならなくなって、会えそうにないの。それだけ伝えたくて……忙しいところごめんね」
一方的に捲し立て電話を切る。すると、すぐに自己嫌悪に見舞われた。
もしも綾人がパイロットになるため、しばらく外国に行くことになっても、定期的に連絡を取り合って彼との付き合いは続くのだと漠然と思っていた。でも、その未来が現実になる可能性は私が思うよりもずっと低いのかもしれない。
綾人に会って直接話をしたいと思う一方で、そのときに聞かされる彼の考えが怖くなる。綾人と会うのが延期になりどこかでホッとしている自分がいた。
年末に差し掛かり、私は公共交通機関を乗り継いで久々に実家に帰った。飲食店を経営する両親は、土日を始め世間一般が休みとなる日が働き時となる。
レストランウェディングの会場としても人気で、私もよく手伝ったりしていた。そのとき見た幸せそうな新郎新婦の姿。会場で流れるムービーに感動して、私は映像制作会社を希望した。
『綾人』
そのとき電話越しに、聞こえるか聞こえないかほどの小さな声が聞こえた。遠くから彼を呼ぶその声には覚えがあった。
川嶋さん?
『今度、綾人が実家に帰ってくるのは私との結婚話を進めるためよ。あなたにはなにも言ってないんでしょ』
彼女の発言が頭を過ぎり、硬直する。
綾人は今、川嶋さんと一緒にいるの?
なんとなく綾人が場所を移動しているのが伝わってくる。それが私の不信感をさらに煽っていく。
『可南子?』
「実は年末年始、ちょっと実家に帰らないとならなくなって、会えそうにないの。それだけ伝えたくて……忙しいところごめんね」
一方的に捲し立て電話を切る。すると、すぐに自己嫌悪に見舞われた。
もしも綾人がパイロットになるため、しばらく外国に行くことになっても、定期的に連絡を取り合って彼との付き合いは続くのだと漠然と思っていた。でも、その未来が現実になる可能性は私が思うよりもずっと低いのかもしれない。
綾人に会って直接話をしたいと思う一方で、そのときに聞かされる彼の考えが怖くなる。綾人と会うのが延期になりどこかでホッとしている自分がいた。
年末に差し掛かり、私は公共交通機関を乗り継いで久々に実家に帰った。飲食店を経営する両親は、土日を始め世間一般が休みとなる日が働き時となる。
レストランウェディングの会場としても人気で、私もよく手伝ったりしていた。そのとき見た幸せそうな新郎新婦の姿。会場で流れるムービーに感動して、私は映像制作会社を希望した。