別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません
「ただきまーす」

「あ、待って。お皿よりこっちの小さい器に入れた方が食べやすいから」

 食べやすい量を別に持ってきてもらった器に入れて、今度こそ凌空の前に置いた。

 嬉しそうに食べ始める凌空を見て安心する。

「子どもと出かけるのって大変なんだな」

 さっきとは打って変わって、綾人はどこか申し訳なさそうな顔になっていた。

「強引に誘ったけれど、凌空の準備も可南子は全部ひとりでしないといけないし、食べるものも考えないとならないんだよな。正直、そこまで頭が回っていなかった」

「気にしないで!」

 次に彼の口の出るのは謝罪の言葉だと察し、慌てて返す。

「凌空、本当に今日が楽しみだったみたいで、実際にすごく楽しんでいた。綾人のおかげだよ。それに私と凌空だけだったらカフェで外食しようなんて思わないから、久しぶりにこんなところでランチできて嬉しい」

 正直に述べたタイミングで私たちの注文していたランチも運ばれてきた。凌空が先に食べ終わるのは間違いないので、早めに食べようとフォークを取る。

「凌空は俺が見るから、可南子はゆっくり食べるといいよ」

 私の心の内を読んだかのようなタイミングで声をかけられ、目をぱちくりさせる。

「ありがとう。気持ちだけで十分だよ。でも大丈夫。慣れているし、気にしないで。綾人が言ったように、私は凌空の母親だからね」

 意地を張ったわけでも、綾人の気持ちを無碍にするつもりもないが、断る以外の選択肢がなかった。綾人だからというわけではなく、もともと頼ったり甘えたりするのが苦手なのだとつくづく思い知る。
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