策略に堕ちた私
 ははっ………。
 誘った、というより、むしろ、襲ってるよね、これ。 
 サーッと血の気が引いてきた。
 いくら、酔っぱらったとはいえ。
 ガバッと上半身を起こして、ベッドの上で土下座する。

「申し訳ございませんでした!」
「……いいよ、俺も楽しんだし」

 社長は、完全に不貞腐れている。
 強姦魔あつかいしたのだから無理もない。

「わ、私、責任取ります!」
「責任?」
「けけけ、けっこん?」
「はァ……?」
「あ、それはかえって迷惑ですよね」

 慰謝料? 
 和解金?

「い、いくら払えばいいでしょうか?」

 社長は唖然と私を見返し、やがて、傷ついた目を向けてくる。
 何を言っちゃったの、私のバカ!
 ヤることヤっといてお金って、それ、一番やっちゃダメなやつ!
 ほらあ、社長が悲しそうな顔になってるじゃないの、俺のこともてあそんだの、って目つきになってるじゃないの。
 その間も音声が聞こえており。

『あ、しゃちょう、あっ、あっ』
『すごく濡れてる。入れていい?』
『うん……。ください………。あ、あっ』
『いたい?』
『いたいけど、やって………、最後までやって……』
『もう少し奥に入れるよ』
『うん、あっ、あっ、あんっ』
『大丈夫?』
『うん……。あっ、あっ、あんっ、やあっ』
『いい?』
『うん、いい、あっ、あっ、あっ、ああっ、ああっ……』

 上ずった声は到底私が出したと思いたくはないが、まぎれもなく私の声で。
 社長の声はそれは甘やかでまるで恋人に対するもののようで。
 羞恥にいたたまれなくなった。

「社長、それ、と、とめてください」
「俺が襲ったわけじゃないとわかってもらえた?」
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