策略に堕ちた私
「辞表……?」

 私が出したものを見て、社長は唖然とした。
 青天の霹靂って顔をしている。

「引継ぎは川下部長にしてありますので。明日から有給消化させていただき」

 私の言葉を社長は遮る。

「ちょっと待って、理由は?」

 赤ちゃんを産むから。
 社長との赤ちゃんを産むから。
 私は中絶の手術をキャンセルしていた。
 もう産むと決めた。
 豆粒の中に眠る赤ちゃんをどうしても産みたくなった。
 しかし、産むと言えば社長を困らせてしまう。降ろせ、なんて社長の口から聞きたくない。
 だから、一人で勝手に産む。
 
「一身上の都合です」
「俺とのことは」
「社長とは、終わりにさせてください」
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