御曹司は不遇な彼女に本物の愛を注ぐ
「俺は紫音しか見えてない。それに仮の恋人や仮の嫁じゃなくて本当の嫁として俺と結婚してもいいんだぞ」

「それはダメですっ!」


「ははっ。そこだけは相変わらずガードが硬いんだな。まっ、パーティーで紹介するときは本物の嫁ぽっく振舞ってくれよ?」

「もちろんです。隼人さんの顔に泥を塗るわけにはいきませんので」


これは私の復讐だ。決して私一人じゃ実行不可能だった復讐。それの手伝いをしてもらっているのにここで本当に私を嫁に迎えるなんて、そんなこと絶対にしてはいけない。


隼人さんの幸せを願うなら、隼人さんが本当に好きな人と結婚するべきだ。この復讐が終われば、私は普通の生活に戻るつもりだ。


公孝とは別れているし、お金の心配はいらない。会社員で入った市役所も悪いウワサが流れた今じゃ居づらいし、別の会社を探そう。正社員じゃなくても一人ならバイトだっていい。これ以上、隼人さんの重荷になってはいけない。


「今日は普段ダンス練習や座学を頑張った褒美にプールでも行こう。なっ?」

「プ、プール!?」


ってことは水着だよね……。背中に大きく残った古傷、隼人さんに見られるの嫌だな。


さすがの隼人さんでもあれを見たら引いてしまう。けど、パーティーだってドレスを着ることになるんだから、ここで慣れておかないと駄目だよね。


私は覚悟を決め、隼人さんとプールデートに行くこととなった。
< 15 / 25 >

この作品をシェア

pagetop