気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「さっきの質問だが、性格的な問題じゃないか。もしくは職業病」

「職業病? 社長のお仕事と関係が?」

「臨機応変な対応を求められることはままあるし、コミュニケーション能力も必要だからな。いかにして相手の懐に入るかというのは、営業するにあたって最も重要なことだと思っているよ」

 なるほどと納得する。

 志信さんが初対面の人間を相手にうろたえているところは想像できなかった。

 上手にその場の空気を支配し、いつの間にか主導権を握る――というならわかる。

 これまで見てきた姿から考えると、そのイメージは大きくはずれていないのだろう。

「さて、次はなにが必要だ?」

「ピーラー……だよ」

 またぎこちなくなった私の耳に、楽しげな笑い声が届く。

「料理上手な人は、皮むきにピーラーを使わないんだと思っていた。違うんだな」

「便利グッズに頼るほうが……楽なの」

< 109 / 276 >

この作品をシェア

pagetop