気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 この気まずい喋り方は今日一日だけで許されるのだろうか。

 それとも明日からもこんなふうに話さなければならないのだろうか。

 どちらにせよ、今日はおさまりの悪い気分を味わう一日になりそうだ。



 ひと通りの買い物を終えて外に出ると、気持ちのいい空気が通り抜けた。

 モールの敷地内には広場があって、ショッピングに飽きた子どもたちが駆け回っている。

 配送手配をしたおかげで、手荷物もなくのんびり過ごせそうだ。

 時計を見ると昼には少し早い。とはいえ、空腹の虫は徐々に迫りつつある。

「あんなにいろいろ必要だと思わなかったな」

「あれだけ揃えれば、もうなにも困らないと思うよ」

 普段、料理をしないだけあって、あの家のキッチンには最低限のものしかない。

 包丁が二本とまな板。あとはフライパンや鍋のセットが一式だ。

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