気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「君がどうしたいか聞いているんだ。俺のことは気にするな」

「私ばかりだと申し訳ないよ」

 なぜか志信さんは驚いたように目を見張った。

 でもすぐに考え直した様子でうなずく。

「だったら俺は、君とジュースを飲んでみたい。そういう経験がないからな」

「そうなの? 小さい時に買ってもらったりとかは?」

「ない。そもそもこういう場所に来ることもなかった。うちの両親は君が想像しているような人たちじゃない」

 妙に距離を感じる言い方が引っかかるも、踏み込んではいけない気がして質問をのみ込む。

「それならたくさん歩いたし、ジュースを飲んで休憩しよう。志信さんは座って待ってて。どういうジュースがいい? 買ってくるから――」

「待ってくれ」

 広場の道に沿って置かれたベンチを示し、ジューススタンドへ向かおうとした瞬間、腕を掴まれる。

「逆だ。俺が買ってくる」

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