気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 オーソドックスなイチゴやバナナ、キウイやパイナップルといったものが目についた。フレッシュなフルーツジュースだけでなく、スムージーやシェイクもあるようだ。

 その中から、グレープフルーツを見つける。ほかのものに比べたら甘さ控えめだろう。

「すみません。グレープフルーツと、白桃で。サイズは一番小さいやつをお願いします」

「はーい、六百七十円になりまーす」

 大学生くらいに見える女性店員に笑いかけられ、反射的に笑みを返した。

 すぐに用意されたジュースを手に、ベンチで待つ志信さんのもとへ帰ろうとする。

 でもその前に、すっと通り道を塞がれた。

「ちょっとお話いいですか?」

 私より少し年上に見える男性だ。志信さんと同じか、ひとつふたつ年下くらいか。

 パンフレットのようなものを持っていて、手首には数珠のようなブレスレットを巻いている。

「え、あの」

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