気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「友だちといる時もこうなんです。ひとりになった瞬間、お得な商品だからって変なものを売りつけられそうになったり。だから円香――友だちも心配して、私をひとりにしないようにしてくれるんです」

 志信さんが苦い顔をしていることに気づき、口をつぐむ。

 なぜそんな表情なのか理由を考えてはっとした。

「ごめんなさい、また敬語……」

「いや、そうじゃなくて。……困ったな」

「あの、私なにか……?」

「君からは目を離さないほうがよさそうだ。そんな話を聞いたら、ますます放っておけない」

 そう言って志信さんもやっとジュースに口をつける。

 合わない味ではなかったようで、特に不満そうな反応はなかった。

「ただでさえ放っておけない人だと思っていたのに。まあ、だから勧誘されるのか」

「どういう意味……?」

「隙がある、ということだな」

「……友だちにも言われるよ。ぼんやりしないのって」

< 117 / 276 >

この作品をシェア

pagetop