気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「こういう時間の過ごし方は初めてだ。俺に新しいことを教えてくれてありがとう」

「初めて?」

「意外だったか?」

「だって、いろんな女性と付き合ってきたでしょう? 私よりもデートしてきた回数が多いんじゃ……?」

 その瞬間、志信さんが勢いよくむせた。

「だ、大丈夫?」

 慌てて背中をさすり、バッグの中から取り出したハンカチを差し出す。

「悪い、大丈夫だ。まさかそんなことを言われるとは」

 むせながらやんわりとハンカチを押しのけられ、ハラハラしながら彼を見守った。

 しばらくして落ち着くと、志信さんが苦い眼差しを向けてくる。

「そういえばさっきも言っていたな。今まで付き合った人がどうのこうの」

 ジュースを買う話になった時のことだ。

 デートで自分が財布を出すのは当然だ、という反応をした彼に、私が言った。

「少なくとも妻が口にする話題だとは思えないんだが」

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