気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 子どもじみた仕草が甘やかに見えて、胸が少し騒いだ。

「俺のことを知ってもらえば、プレゼントを贈った理由にも納得してもらえるかな」

「……そうだったらいいな」

「じゃあ、デートしよう。前回は買い物のついでみたいなものだったしな」

 どうやら私を知るために踏み込もうとしているらしい。

 私だけでは考えつかなかった方法を提示され、考える前にうなずいた。

「うん。だったら、私にも半日ちょうだい」

「ん? 半日?」

「してもらうばかりじゃ申し訳ないから、私を知ってもらうためのデートもさせて」

「わかった」

 志信さんは指に巻きつけていた髪をほどくと、私の頬を軽くなぞった。

「いい加減、はっきりさせたいことがあるしな」

 それがなんなのかを彼は語ろうとしない。

 滑り降りた指が輪郭をなぞっておとがいで止まり、そのまま私の顔を持ち上げる。

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