気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「まだ俺たちも若かったしな。自分たちだけの力で、ちょっとした贅沢を楽しんでやろうと思ったんだ。アルバイトでお金を溜めて、その頃有名だったそこのホテルに泊まってみた。ちゃんと親の許可を用意するあたり、真面目な高校生だと思わないか?」

 制服を着た志信さんを想像し、くすくす笑う。

 筑波社長の人柄は知らないけれど、きっと志信さんは今とあまり変わらないのだろう。

「どうだったの?」

「今、この仕事をしているのが理由だ。……素晴らしかった。相手が未成年だろうと手を抜かない完璧なサービスを受けて、初めて一人前として認められた気になったな」

「……ん? でもホテル事業は筑波社長がしているんだよね。どうして志信さんは土地開発のほうにいったの?」

「ホテルだけより、リゾート地そのものを作るほうが楽しそうだったし、あいつに『同業になったら徹底的に潰してやる』と脅されたからだな」

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