気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 水槽を見つめる視線の先には、小魚の群れに交ざる色違いの魚がいた。

「どれだけ業績を伸ばして有名になっても、両親は許してくれない。結婚発表してもなにも言ってこないし、俺からの連絡にも応えない」

「じゃあ私との結婚の件は……」

「魅上経由で伝えてもらったが、返事はないな。息子なんてものはいなかったことになっているのかもしれない」

 色違いの魚が小魚たちに追いやられて水槽の隅へ逃げていく。

 志信さんの中で両親の件は割り切っているようだったけれど、落ち着きすぎているその横顔が無性に切ない。

「……私、知らなかった」

 水槽に置かれたままの志信さんの手に思い切って触れてみる。

 魚を見ていた志信さんが私に視線を移した。

「実の両親が揃っている家庭に憧れがあったの。みんな幸せなんだと思っていたから。でも、子どもっぽい考え方だったね」

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