気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「友だちは背中を押してくれるけど、志信さんは受け止めようとしてくれているみたいだなって」

「そのつもりで言ったよ。助けてほしい時は素直にそう言ってくれ」

 もしかしたら、優陽は俺が思っているよりも危ない綱渡りをして生きていたのかもしれない。

 心が折れて立ち止まりそうになるところを、家族と友人の存在で必死に繋ぎ留めて、前を向いてきたのではないだろうか。

 たったひと言で泣きそうになっている姿を見て、そう思った。

「君は俺を助けてくれただろう。結婚なんてとんでもない要求も受け入れてくれた。だから、君の幸せのためならどんなことだってする」

「……うん、ありがとう」

 俺が優陽について知っていたのは資料に記されたものだけで、その裏にある彼女の気持ちはなにもわかっていなかった。

 こうして知った以上、今まで以上に彼女のために力を尽くしたいと思う。

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