初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

「恭二くん、今日はありがとう」
「どういたしまして。俺も琴葉の両親に挨拶をしたいと思っていたからちょうどよかったよ」

家を出てガレージに向かいながらお礼を言うと、恭二くんは私の頭をポンと撫でた。
止めていた車に乗り込むと、恭二くんは車を発進させる。
車内での会話の内容はもちろんさっきの話だ。

「最初、芹くんがしゃがみ込むからどうしようかと思ったよ」
「確かにあれは驚いたな。綺麗に膝から崩れ落ちたから危うく笑いそうになったよ」

ハンドルを握り、恭二くんは思い出し笑いをしている。

あの時、本当は恭二くんと並んで玄関を入ろうと思っていたけど、父親の心の準備が出来る前に対面になってしまうのでドアの後ろに隠れてもらっていた。
お父さんの心の準備より前に、なぜか実家に戻っていた芹くんが見事に膝から崩れ落ちた。
あんなのドラマや漫画でしか見ないと思っていたけど、実際に目の前で見れるなんて貴重な体験をした気分だ。

「芹のあれで緊張がほぐれたよ」
「えっ、緊張してたの?そんな風には見えなかったけど」
「そりゃあするよ。今日は芹の友人ではなく、琴葉の彼氏として挨拶に行くんだからね」

恭二くんはふっと笑いながら私を見て、その笑顔がカッコよくて胸がキュンとなる。
それに、私の彼氏という言葉にくすぐったい気持ちになった。

とりあえず、今日が無事に終わってホッとした。
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