初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
見合いの話があっても断っているという話は聞いたことがあったけど、そういう事情だったのか。
私と再会した時に恭二くんに彼女や婚約者がいなくて本当によかったとしみじみ思った。
そんなことより、さっき恭二くんは『会社で親父から琴葉に接触があるかもしれない』って言ったよね?
恭二くんのお父さんイコール会社の社長だ。
恭二くんママとは何度か話したことがあったけど、お父さんとは一度も話したことがない。
就職してからも、一方的に私が社長のことを見ているだけだ。
仕事中に遭遇する可能性はなきにしもあらず。
でも、私の顔は分からないだろうから、こちらから名乗らない限りは気づかれないと思う。
それに、社長がわざわざ営業部まで来て確認はしないだろうからきっと大丈夫だ……と思うことにした。
「仕事中に接触してこないとは思うけど、親父はせっかちなところがあるから万が一があるかもしれない」
恭二くんは申し訳なさそうな表情になるので、私は笑顔を見せた。
「そっか、じゃあ心の準備だけはしておくよ」
恭二くんも私の両親にちゃんと挨拶をしてくれたんだから、私も頑張らなきゃ。
まずは挨拶に行くときにどんな洋服を着ればいいか調べよう、なんてぼんやり考えていた。