初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
「やあ、恭二。時間があったから少し早めに来たら琴葉ちゃんが会議の準備してくれていたんだ。まさか、こんなところで未来の息子のお嫁さんに会うとは思っていなかったけどね」
「でしょうね。琴葉、なんか変なことは言われなかった?」
ここは会社の会議室だというのに、社長と恭二くんは普通に私のことを名前で呼ぶ。
他に誰もいないからだろうけど、私一人ソワソワしながら「はい」と返事した。
「それならいいけど」
恭二くんは手に持っていた資料の束を机に置いた。
「恭二、琴葉ちゃんとの結婚を考えているんだろ。こちらとしてはいつでも受け入れ態勢は整っているから、二人の気持ちが決まったら報告してくれ。それと、母さんが琴葉ちゃんに会いたいと言っているんだが」
「分かってる。時期が来たらと思っていたから、近々都合をつけて会いに行くよ。琴葉、それでも大丈夫?」
恭二くんは自分本位に決めず、ちゃんと私の意見を聞いてくれる。
「はい、私はいつでも大丈夫です」
「ありがとう、助かるよ」
「そろそろ他のみなさんも来る頃なので失礼します」
会議室の準備はもう終わっている。
誰が入ってくるか分からないので、私は早めに退散した方がいい。
「ああ。準備ありがとう」
「いえ。それでは失礼します」
社長に向かって声をかければ、片手を上げて微笑んでくれた。
再度、恭二くんを見て軽く頭を下げ会議室を後にした。