初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

どんな落ち方をしたのか覚えていないけど、咄嗟に手をついてしまったので左手首が痛い。
手のひらも擦り剥いているし、膝のあたりから血が滲んでいた。
今日はパンツではなくスカートを穿いていたのでストッキングが破れている。

「お姉さん、大丈夫ですか?」

不意に女子高生二人組に声をかけられた。

「あ、うん。大丈夫……」
「ここだと人通りがあるので移動しませんか?立てます?」

女子高生が私を支えてくれ、ゆっくりと立ち上がるとホームのベンチまで付き添ってくれた。
歩きながら、あんな場所で転がっていたことが恥ずかしくなる。
ベンチに座り、バッグからティッシュを出して足の血を拭きながらよく無事だったよなと思う。

最悪の場合、階段から落ちて大ケガをしていたかもしれない。
それに、もし人を巻き込んでいたら大変なことになっていただろう。
私の前に人がいなかったから、単独で転んだだけで済んだのは不幸中の幸いだ。

怪我も比較的軽傷で大事には至っていないので、本当に運がよかった。
ふと、女子高生が口を開いた。
 
「それにしても、あの女の人危なかったよね」
「ホントそれ。さっき、私たちの前にキャップを被った小柄な女性がいて急に方向転換したんです。いきなりどうしたんだろうって思っていたら、階段の下でお姉さんが転んでいるから驚いて駆け寄ったんです。階段を踏み外したんですか?」

質問され、さっきの出来事を思い出す。
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