初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

「階段を下りている時に誰かのバッグか何かが背中に当たる感触があったなと思った直後に足を踏み外して……」
「もしかしてあの人のバッグが当たったのかも。お姉さんの後ろにいた女の人が、やたら大きなバッグを肩にかけてたんですよ」

自分の背後に誰がいたとか気にも留めていなかったけど、小柄な女性がいたのか。

「確かにバッグは大きかった。あの人、忘れ物でもしたのかな?急に振り向くんだもん」
「あれにはビックリしたよね」
「でもさ、自分のバッグが人に当たったら気が付くと思わない?」
「急な方向転換だったから、気が付かないほど焦ってたとか?」

二人はいろいろと推測し始めた。

「どうかな?あっ、自分のバッグが当たったのに気づいたけど、お姉さんが階段から落ちたから怖くなって逃げたっていうパターンもあり得そう」
「えー、そんなの最低じゃん」
「わざとじゃないなら謝罪するべきだよね」
「ホントだよ。お姉さんが大怪我してなかったからよかったけど」

彼女たちの話を聞いてだいたいの状況を把握することが出来た。

心優しい女子高生がいてくれて本当によかった。
いつまでも二人を引き留めているわけにもいかないので感謝の気持ちを伝えた。

「本当にありがとう。何かお礼をしたいんだけど」
「お礼なんていりませんよ。人助けするのは当たり前のことなので。それじゃあ、気を付けてくださいね」

ホームに電車が来て、彼女たちは手を振りながらそれに乗り込んだ。
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