初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
私にぶつかったのは小柄な女性だと女子高生は言っていたので、わざとではない可能性もある。
でも、わざとだとしたら今度は軽い怪我だけでは済まないかもしれない。
考えただけでゾッとする。

「琴葉、俺のマンションで一緒に住もう」

突然、恭二くんがとんでもないことを言い出して愕然とした。

「俺の目の届かないところで琴葉が怪我をしたり傷つけられるのは嫌なんだ。悪いけど、今回は琴葉に選択権はないよ。これは決定事故だから」
「でも……」
「でも、じゃない。また駅で危ない目に遭ったらどうするんだ?」
「それは嫌だけど……」
「だったら悩む必要なんてないよ。善は急げってことで、スマホを出して」

どうしてだろうと不思議に思いながらバッグの中からスマホを出す。

「出したけど」
「じゃあ、おばさんか誰か家族に連絡して今日の出来事を話して」
「今日の出来事って階段から落ちて怪我をしたこと?」
「ああ。そのことを話したうえで、琴葉と一緒に住むことを許可してもらおうかと思って」

黙っていたら分からないのに、ちゃんと私の両親に許可を得ようとしてくれるところが恭二くんらしい。
彼はどこまでも誠実な人だ。
私は母親に電話をかけた。
 
「もしもし、お母さん。今いい?」
『いいけど、どうしたの?』
「あのさ、今日駅の階段で足を踏み外して怪我をしたんだよね」
『えっ、怪我?大丈夫なの?どこを怪我したの?』

お母さんは驚き、質問攻めにしてくる。
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