初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

「大丈夫だよ。怪我は、落ちた時に手を突いたから手首の軽い捻挫と足の擦り傷だけだよ」
『痛かったでしょう。お医者さんに診てもらったの?』
「うん。整形外科に行ってきたよ。二週間ぐらいで治るって言われた」
『そうなのね。手首の捻挫なら日常生活とか困らない?』
「利き手じゃないから大丈夫だと思うけど」

お母さんと話をしていたら、恭二くんが電話を代わるように合図を送ってきた。

「あ、恭二くんがお母さんに話があるみたいだから代わるね」

そう言って、私のスマホを恭二くんに渡した。

「先日はありがとうございました。それで、今日は折り入って相談があって。はい、琴葉が駅の階段で足を踏み外したのは、後ろにいた人の鞄が背中にぶつかったんです。その人は琴葉のことを助けることなく立ち去ったみたいなんです。ええ、その可能性もあります。怪我のこともありますし、電車通勤をさせるのは心配なので僕の家で一緒に住むことを許可してもらいたくて。琴葉の送迎については考えています。ありがとうございます。はい、分かっています。責任をもって琴葉のことは守ります。それでは失礼します」

電話が終わり、恭二くんが笑顔を向けてきた。

「おばさんたちに許可を取ったから」
「たち、って?」
「おじさんとも話をした。二人とも琴葉のことを心配してすぐに賛成してくれたよ。このあと、琴葉の部屋に寄って必要な荷物を持って俺のマンションに行こう」

あれよあれよという間に、恭二くんと一緒に住むことになった。
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