初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
「じゃあ、彼女はずっと灰原くんのことが好きで告白待ちだったってこと?」
「あー、はい。そういうことになりますね」
「やだー、初々しくて胸キュンなんだけど!人の恋バナとか聞いたら彼氏が欲しくなるわ」

望は頬杖をつきながら遠くを見る。
私も灰原くんの話を聞いて無性に恭二くんが恋しくなった。

「吉瀬さんは彼氏いないんですか?」
「残念ながらいないよ。でも、今は推し活してる方が楽しいから」

その推しは灰原くんだけどね、と心の中で突っ込みながらオムライスを食べ進めた。

「伊藤さんも彼女がいないんですか?」
「まあ、そうだね」
「えー、モテそうなのに」
「全然だよ。好きな人というか、気になる人はいるんだけどね」

今度は伊藤さんの恋バナにシフトチェンジし、望は再び興味津々で話を聞いていた。

オムライスを食べ終えた頃、アシスタントをしている満島さんが出先から『午後イチで営業先に見積書を持って行くから準備しておいて』という電話があったのを思い出した。

一度帰社してから持って行くと言っていたから、そろそろ会社に戻っている頃かもしれない。
待たせるわけにはいかないので、立ち上がりながら望に声をかけた。

「私、見積書の準備があるから先に戻るね」
「了解」

伊藤さんと灰原くんにも「お先です」と言って返却口へ食べ終えたお皿を運んだ。
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