初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
「今日は送別会だよな」
「そうだよ。恭二くんは参加できないんだよね」
「ああ、出張があるからね。琴葉、分かってると思うけど、酒は飲んでもいいけど人様の迷惑にならない程度にな」
念を押すように言う。
自分が見ていないところで私が飲み過ぎるのが心配だと恭二くんはよく口にしていた。
まあ、お酒に関しては私も反省すべき点しかないので素直に従う。
「うん。乾杯の時に飲むぐらいにするから大丈夫だよ」
「それならいいけど。じゃあ、俺は先に行くよ」
恭二くんは仕事の鞄とお弁当が入った黒色のランチバッグを手に玄関に向かい、私も見送るために彼の後を追う。
靴を履いて恭二くんは振り返って微笑む。
「こうして琴葉に見送られるのはいいもんだな。結婚したと勘違いしてしまうよ」
恭二くんと同棲を始めてから、何か他のことをやっていても一旦手を止めて彼を玄関で見送っている。
別に強制されたわけじゃなく、自然と身体が動いていた。
「琴葉は結婚はまだ早いと思う?」
「えっ、そんなことはないと思うけど……」
「それを聞けてよかったよ。じゃあ、行ってきます」
恭二くんは私の唇にキスをして出て行った。
こんな風に新婚みたいなことをしているなと思うことが多々ある。
って、のんびりしている暇はない。
延原さんが迎えに来る時間に間に合わそうと、急いで準備に取り掛かった。