初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

元々、幹事の人たちには先に話をしていたみたいで、妊婦さんに無理はさせないように配慮されていた。

来週から加絵さんはいないのかとしんみりしていたら、伊藤さんに声をかけられた。

「羽山さん、これ美味しいよ」

豚のしそ巻が二本乗ったお皿を手に私の隣に座った。
さっきまで加絵さんが座っていた場所だ。

「もしかして、もう食べた?」
「いえ、まだ食べてません」
「だったら食べてみて」

勧められ、豚しそ巻の串を手に取って口に運んだ。

「美味しいですね」
「だろ。俺のおすすめなんだ」

伊藤さんは嬉しそうに言う。

「あ、琴葉だけズルいです。私も食べていいですか?」
「いいよ。はい、吉瀬さん」

私の正面に座っていた望が伊藤さんの持ってきたお皿を指さすと、彼はお皿を望の方へ寄せた。
望は串を取って食べながら伊藤さんを見つめた。
 
「もしかして、伊藤さんて世話焼きなところあります?」
「どうして?」
「さっきから見ていたら、向こうでもお酒の注文とか率先してやってましたよね」
「あー、体育会系だから身体に染み付いているのかもしれない」

伊藤さんは照れくさそうに頭をかいた。
がっしりとしたガタイだけど、こういうところは可愛らしく見える。
年上男性に可愛いというのは失礼かもしれないけど。
 
< 138 / 180 >

この作品をシェア

pagetop