初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

望には付き合っている人がいることを話そうかと思ったけど、いかんせん相手が久住部長だ。
正直に話してお互いに変な空気になっても嫌だし、相手を濁しても墓穴を掘りそうなので、話さないという結論に至った。

この話題はすぐに終わると思っていたら、望がとんでもないことを言いだした。

「ちょうどよかった。実はさ、琴葉が彼氏と別れたって聞いた他の部署の人から琴葉と接点持ちたいからって合コン開いてって頼まれているんだよね」
「え、嘘でしょ」

それは初耳だ。

「それが嘘じゃないんだよね。琴葉ってパッと見、色白で所作も綺麗だしどこかのお嬢様って感じなんだよね。男性陣からしたら、高嶺の花みたいで声をかけにくい雰囲気があるんだよ」

どこかのお嬢様か……望にも話していないけど、一応社長令嬢だ。
声をかけにくいのは、女子校育ちだし男性にあまり免疫がなかったことも影響しているんだろう。
社会人になってからはそれなりに社交性を学んだけど。

「高嶺の花、ね。確かに的を得ているな」
「伊藤さんもそう思いますよね?でも、実際の琴葉はサッパリしてるし、一緒にいて楽しいし、料理は上手だし酔うと面倒で……」
「ちょっと、酔うと面倒は普通に悪口でしょ」
「あはは、ごめんごめん」

全く、心のこもっていない謝罪だ。
でも、一緒にいて楽しいとか料理が上手という評価は単純に嬉しい。
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