初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

「で、合コンどうする?」
「やらなくていいし行かないよ」
「えー、琴葉のことが気になっている男性社員がたくさんいるんだよ」
「社交辞令だって。そんな人いるわけないじゃん」
「それがいるんだって。広報の谷野くんの先輩も琴葉と話がしたいって言ってたらしいよ」

谷野くんというのは私たちの同期だけど、そんな話は聞いたことがない。
正直、私は話題が豊富な訳ではないし、話してもつまらないと思う。
 
「ここにも一人、羽山さんのことが気になっている男性社員がいるよ」
「えっ」
 
ビールを飲みながら自分を指さす伊藤さんに目を見開いた。
でも、お酒を飲んでいるし、笑いながら言っているので場を盛り上げるための冗談なんだろう。

「やだー、伊藤さんもですか?モテ期じゃん!ほら、どうする?」
「だから、合コンはやらないって。伊藤さんも冗談で言っているんだから真に受けないで。ちょっとお手洗いに行ってくるね」

ニヤニヤしている望にため息しか出ない。
これ以上、この話題に触れられたくなくて私は席を立った。
 
お手洗いを済ませ、通路を歩いていたら後ろから「羽山さん」と呼ばれて立ち止まる。

「へ?あっ、伊藤さんどうしたんですか?」
「ちょっと話があるから来てもらってもいい?静かなところで話がしたいんだ」

真っ直ぐに私を見つめて言った。

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