初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

それと、元カレのことは別れる半年前には気持ちは冷めていたので、別れてもショックではなかったことも改めて打ち明けた。
望も最初は驚きはしていたけど、『初恋の人と付き合えるなんて最高じゃん』なんて言って祝福してくれた。

定時になり、片づけを済ませて望と会社を出た。

「琴葉、大丈夫?」
「うん、ちゃんと自分の気持ちを伝えてくるよ」
「そっか。もし、気まずくなっても私がフォローしてあげるから大船に乗ったつもりで頑張って」

背中をバシッと叩かれた。
音の割には痛みは全くなかったけど。

望の些細な気遣いや明るさにいつも助けられているよなと改めて思う。

「ありがとう。じゃあ、行ってくる」

心配してくれる望に笑いながら手を振って別れた。

伊藤さんとは会社近くのコーヒーショップで待ち合わせをしている。
彼はもう少し仕事が残っているみたいだったので、私は先に行って待つことにした。

恭二くんには会社を出る前にメッセージを送っていた。
【今から返事をしてきます】
会議室で打ち合わせをしているので、当然既読にはならない。

待ち合わせなどでよく利用しているコーヒーショップ『Kimi Cafe』は母娘の家族経営で、営業終了が十九時だ。
今は十八時半なのでお客さんは誰もいない。

レトロな純喫茶のような店内は、少し暗めの照明で落ち着いた雰囲気だ。
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