初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
私を視界に捉えた三条さんが飲んでいたコーヒーカップを置いて口を開いた。
「こんにちは」
「あの、どうして私を呼び出したんですか?三条さんとはほとんど会話すらしたことがないのに急に会社に来られても困ります」
とりあえず、言いたいことを言った。
「まあいいじゃない。立ち話もなんだから座ってよ」
そう言いながら、三条さんは私のことをじっと見つめ「怪我は……」と小さな声で呟き、その言葉に引っかかりを覚えた。
私の怪我といえば、駅の階段を踏み外して膝を擦りむいたり手首の捻挫ぐらいだ。
ふと女子高生が私にぶつかったのは小柄な女性だと言っていたことを思い出す。
「お待たせしました。ホットカフェラテです。ごゆっくりどうぞ」
店員が持ってきたカフェラテを飲みながら目の前の三条さんを見る。
彼女は小柄……もしかして、という疑念がわいた。
「怪我ってどういうことですか?私に対して言いましたよね?」
「い、いえ、別に……」
動揺したのか、三条さんはコーヒーを一気に飲み干した。
明らかに様子がおかしい。
「私が階段から落ちて怪我したことを知っているんですか?」
じっと睨みつけるように三条さんを見ると気まずそうに視線を逸らす。
彼女の態度で確信した。
「あの日、私にぶつかりましたよね?」
「わ、わざとじゃないわ。たまたまバッグがあたったのよ」
単刀直入に聞くと、三条さんは焦りながら言い訳を口にした。