初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

「私には兄が二人いるけど、彼らには何をやっても敵わなかった。少しでも近づけるために努力したけど、それでも追いつくことは出来なかったけどね」

誰にも話したことのない私の本音。
それをまさか三条さんに話すことになるとは思わなかったけど。

芹くんも柊くんも文武両道、常に成績はトップクラスで私が何をやっても敵わない。
二人も努力しているんだろうけど、平凡な私はいくら頑張っても追いつけない。
そんな兄二人より出来ることといえばピアノぐらいしかなかった。
だから、ピアノのコンクールで入賞できた時は本当に嬉しかったのを覚えている。
その時、私は劣等感から解放された気がした。

それより、三条さんは私に何の用事があったのかという本題に戻ることにした。

「ところで、私を呼び出したのはどうして?」
「謝罪しようと思って……。ずっと、あなたの怪我のことが気になっていて会社付近で待っていたけど全然会えないから呼び出すことにしたの。会ってすぐに謝りたかったけど、つい昔の癖で羽山さんを見たら卑屈になってしまって……」

あの怪我以降、私は車で送迎をしてもらっているから、タイミングが合わなかったのかもしれない。

それより三条さんはいつも予想外の行動をする。
私に会うために会社で待ち伏せしていたことに驚きを隠せない。
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