初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
「お茶とアイスコーヒーどっちがいい?」
「お構いなく」
「俺が飲みたいから付き合ってもらいたいんだけど」
「じゃあ、アイスコーヒーでお願いします」
「了解。準備するから、そこのソファにでも座って適当にくつろいでいて」
 
広いリビングの黒の革張りのソファに座り、ついキョロキョロと部屋を観察してしまう。

初めて来た時は気が動転していたというか、とにかくここから逃げ出さなきゃという思いが強かった。
だから、周りのことを落ち着いて見る余裕はなかったんだ。

一度見たはずの久住部長の部屋は、無駄なものは置いてなく、シンプルなインテリアで統一されていてモデルルームのようだ。

キッチンが視界に入り、久住部長は冷蔵庫からアイスコーヒーのペットボトルを取り出してコップに注いでいた。
あのコーヒー、私もよくスーパーで買うやつだ。
安売りの時は百円以下で買える時がある。
そんなコーヒーのペットボトルが久住部長の冷蔵庫の中にもあると思ったら変な親近感を覚えていた。
 

持ってきてくれたアイスコーヒーを一口飲んだところで、久住部長が話を切り出してきた。

「単刀直入に聞くけど、羽山さんはあの日のことを覚えていないのか?」
「覚えていることは覚えているんですけど、ところどころ抜けているというかなんと言うか……」

正直、あの夜のことをハッキリ覚えているかと言われたら答えはノーだ。
お酒のせいなのか、あれは夢だと思っていた部分があったからだ。
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