初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
『そうだね……。でも、結婚は簡単には出来ないから』
『どうして?ことははきょうじくんのことがだいすきなのに』
『じゃあ、琴葉ちゃんが大きくなっても僕のことを好きだったら結婚しようか』
『ホントに?』
『うん、約束』
久住部長は右手の小指を出してきたので、私は笑顔でそれに自分の小指を絡めて約束した。
今考えると、あれは久住部長なりの優しさだったと思う。
さっき泣いたばかりの七歳年下の小学生のプロポーズを断るのは酷だと思ったのかもしれない。
その後、久住部長に会うたびに私は『大好き』と告白していて、おませで厄介な子供だった思う。
私が久住部長のことを好きでい続けていれば、約束通り結婚できると思っていた。
久住部長が中学高校大学と進むにつれて会う機会も減っていったけど、私が彼のことを忘れることはなかった。
会えない時も彼がくれたぬいぐるみたちが私の心の支えになっていた。
でも、私が中学に入学してしばらく経った頃、突然芹くんから久住部長に恋人がいるという話を聞かされた。
一途に彼を思い続けていた私にとってかなりの衝撃だった。
『琴葉、恭二には彼女がいるんだ』
『えっ、嘘だ』
『嘘じゃない。だから、琴葉が恭二のことをずっと好きでも結婚できないよ』
芹くんの言葉が私の胸を突き刺した。
しかも、彼女は美人モデルとかでお似合いのカップルだと言っていた。
『大きくなっても僕のことを好きだったら結婚しよう』という彼の言葉は、私を傷つけないための嘘だったんだと、その時初めて気づいたんだ。