初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
「頑張ってくれた琴葉に今まで秘密にしていたことを教えるよ」
「秘密、ですか?」

私が聞き返すと、久住部長はくすりと笑った。

「実は、芹から琴葉の成長記録というか君の写真を見せられ続けていたんだ」
「えっ」
「アイツは入学式や卒業式、体育祭や文化祭、修学旅行など様々な行事の写真を自慢げに見せてきて、俺の琴葉は可愛いだろって言ってシスコン大爆発」

思わぬ兄の行動に顔を赤くする。
久住部長はさっきから私のことを普通に"琴葉"と名前で呼んでいて、昔の感覚に戻ったみたいで不思議な気持ちだ。

「特に酒が入ったら聞いてもいないのに、琴葉の近況報告をペラペラと喋りだすしね」

久住部長は苦笑いした。
芹くんの酒癖はあまりよくなかったはず。
お酒の席の芹くんの様子は簡単に想像できた。

「俺は幼かった琴葉が成人するまでの過程を間接的にずっと見ていた」

知らなかった事実を聞かされてドキドキする。

メッセージアプリに羽山家のグループを作っていて、家族からそこに何かあれば写真を送ってほしいと言われていた。
そのグループのアルバムの写真は、すべて私が写っているものばかりだった。

高校を卒業するまで律儀に写真を送っていたけど、まさかそれを久住部長に見せていたなんて……芹くんは何をしているのよ!
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