初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
「芹が琴葉が大学に入ってからは写真を送ってくれないと言ってボヤいていた。それに、反対していた一人暮らしも始めてしまい、兄離れしたんだ~と嘆いていた。そんな芹から琴葉に彼氏がいたとは一度も聞いたことがなかったから油断していたんだ。よく考えれば、家族に付き合っている人がいるなんていちいち報告するわけがないよな」
そう言って肩を竦め、小さく笑った。
芹くんたちは私に彼氏がいて、しかも別れたことを知らない。
根掘り葉掘り聞かれるのは分かり切っていたし、そういったことは家族に話す必要もないと思っていた。
「琴葉と一緒に働くようになってから、一生懸命仕事に取り組む姿や先回りしてフォローしてくれる勘の良さ、ふとした時に見せる笑顔に惹かれていた。話す機会をうかがっていたら、いつの間にか時が過ぎていて、気持ちを告げる前に琴葉に彼氏がいることを知った。あの時の約束は果たせないのかと落ち込んだよ」
あの約束はその場しのぎで言っただけで、久住部長にとってはどうでもいいものだと思っていた。
でも、忘れずにいてくれたことに胸の奥がぎゅうっと締め付けられた。
「この前、琴葉が彼氏と別れたという話を耳にした。山田から琴葉を励ます会をすると聞かされて、いつもなら欠席していた飲み会に参加したんだ。今更だとは思ったけど、このチャンスを逃したくなかった」
強い決意を秘めた目で見つめてきた。
「もう一度、君に伝えるよ。俺は琴葉が好きだ」