初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
それなのに、俺の予想と反して琴葉は会うたびに『大好き』と言ってきた。
申し訳なかったけど、この時は純粋な琴葉の気持ちに応えることは出来なかった。
芹からも『子供の戯言だからスルーしといて。そのうち言わなくなると思うから』と言われていた。
だから毎回俺は曖昧に笑って誤魔化すしかなかった。
時が経ち、高校を卒業して大学生になると俺の周りの環境がガラリと変わった。
どこからか、俺が会社の御曹司ということが広まり、女性から外見や肩書きに惹かれて声をかけられることが多くなった。
声や仕草、すべてが計算で下心が透けて見えた。
それに煩わしさを覚えていた時、幼なじみの麻生莉子から付き合っているふりをしてくれと頼まれた。
話を聞けば、莉子は最近モデルの仕事を始めた影響でストーカー被害に遭っているとの事だった。
莉子には全く恋愛感情はないが、こちらとしても女性関係にうんざりしていた。
お互いの利害が一致し、付き合っているふりをすることに了承した。
それからすぐに俺と莉子が付き合っているという噂が広まっていた。
その理由は、モデルをしている莉子がSNSで恋人がいると投稿したからだった。
彼女のSNSの効果は絶大で、俺に声をかけてくる女性はいなくなった。
それだけ麻生莉子の美貌は群を抜いていた。
俺からすれば、目力と気の強い幼なじみという程度だったけど。