初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋

『それはどんな男なんだ。何をしている奴だ?年齢は?性格はいいのか?優しいのか?パパよりかっこいいのか?』

お怒りモードで矢継ぎ早にいろんなことを聞いてくる。
普段、父親は自分のことをパパとか言わないのでかなり動揺しているのが伝わってきた。
どうしよう。
両親は恭二くんのことは知っているからここで話してもいいけど……。

「年上で優しくてかっこいい人だよ」
『チッ、今すぐ連れてきなさい』

久々に父親の舌打ちを聞いた。
かっこいいというワードは余計だったかもしれない。
それよりも、今すぐって時間を分かっているんだろうか。
二十一時過ぎてるんだけど。

「今すぐは無理だよ。私、もうお風呂に入ったし」
『(葵、冷静になりなさいよ。ちょっと替わって)。あ、ゆずっ!俺はまだ琴葉と話がっ』

スマホをめぐっての両親のやり取りが目に浮かぶ。

『もしもし、琴葉。近々、彼氏と一緒にうちに来てもらってもいい?そしたら葵も納得すると思うから』
「う、うん。分かった、聞いてみる」
『またお互いの都合を合わせて日程を決めましょう。これ以上話すと葵がうるさいから切るわね』

電話を切って小さく息を吐いた。
彼氏が恭二くんだと知った時の両親の反応も気になるところだけど、一番は芹くんだろう。

実家訪問は避けては通れないから、あとで恭二くんに確認しよう。
とりあえず、冷やしていた今日の戦利品シャインマスカットを一粒摘まんで口の中の放り込んだ。
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