初恋御曹司と失恋部下の、一夜から始まる甘い恋
数ヶ月ぶりに実家に戻った。

母親から電話があった後、恭二くんに一緒に実家に行ってもらえないか聞いたら『いいよ』という返事が返ってきた。
『そのうち羽山家に挨拶に行こうと思っていたんだ』とのこと。
その返事を聞き、お互いに都合のいい日を決めて実家訪問することになった。
そして母親から電話があって二週間後の今日、昼から恭二くんが家に迎えに来てくれた。
 
実家に行く前、恭二くんは『ボンジェルム』という洋菓子店で手土産を買っていた。
芹くんの友達だからなのか、うちの家族全員そこのタルトが大好きなことを知っていたみたいだ。
恭二くんは事前に予約していたらしく、受け取りだけしていた。

「ただいま」

玄関のドアを開けると、奥の廊下から父親と芹くんがこちらに向かって歩いてきた。
そして、芹くんが私の前に立ち塞がった。

「琴葉、本当に彼氏を連れてきたのか?」
「うん」

後ろに控えていた恭二くんを見ると、笑顔で頷いて私の隣に並んだ。

「き、恭二?は?なんで?どういうことだ?」

芹くんは何度も瞬きして、私と恭二くんを交互に見る。

「お久しぶりです。琴葉さんとお付き合いさせていただいています、久住恭二です」
「なっ、琴葉とお付き合い?お前が?嘘だろ……」
  
恭二くんの丁寧な挨拶に芹くんが膝から崩れ落ちるようにしゃがみ込む。
お父さんは唖然としてその場に立ち尽くしていた。
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