冷酷社長が政略妻に注ぐ執愛は世界で一番重くて甘い
言い切った玲志に、香蓮の鼓動が高鳴った。
ちらりと視線を横に流すと、彼がちょうど彼女の方を向いたところだった。
『小さいころから香蓮の人柄に惹かれていたんです。人をいつも尊重しようとする優しい性格で、少し気は弱いけれど……。でも絶対に、目の前の問題から逃げない強さがあった』
自分を見つめる玲志の瞳がまるで恋人のようで、胸がぎゅっと締め付けられる。
動揺を隠しきれない香蓮に、彼はさらに甘い笑みを重ねた。
『それに、彼女は十分美しいですよ』
玲志の言葉が、静まり返った客間に響き渡る。
速くなり過ぎた鼓動の音が彼に伝わってしまうのを恐れ、香蓮はとっさに、片腕で己の体を包み込む。
(玲志君。これは……演技、なの……?)
やかて玲志は香蓮から視線を外し、対面に座る苦々しい顔の三人へ微笑みかける。
『みなさん、どうぞ末永く僕たちを見守っていてください』